講師インタビュー

第3回:異文化コミュニケーション ~とにかくしゃべろう Your 英語~

Beetle1 代表 英会話コーチ
Shinji UEHARA(うえはら しんじ)

photo_different-culture3.jpg

下手でいい。日本人は間違うことを恐れすぎる。
単にしゃべることと、コミュニケーションをとることとは違う。
オープンマインドで相手の文化を受け入れる。最終的には、気持だと思う。

――先生の講座は英語レッスンではなく、異文化コミュニケーションということですが、他の英会話教室と違うところは何ですか?
それはね、まずメンタルブロックを外してもらうということなんです。決して英語は敷居の高いものではないし、世界の公用語というか、共通語として使われているわけじゃないですか。ですから、日本人が考えるほど敷居は高くはないはずなんです。ただ、日本に英語ビジネスというのが定着していますね。そういったマーケティングにあまり騙されないほうがいいかなと。確かに、勉強は必要ですし、高いレベルの英語をしゃべろうと思うのであれば、英会話教室に行ってネイティブの人と話すとか、いろんなテストを受けるとか、資格を取るとか必要だと思うんです。だけども一般市民の人がしゃべる英語で日常的にお話をして、馬鹿話をしてみたり、昨日こういうことあったねと、そういうレベルの英語ならば敷居は全く高くないです。それに、これからはそういうふうになっていくと思います。19世紀のイギリス英語、20世紀のアメリカ英語、21世紀はグローバル。とくにインド人、チャイニーズが多いといわれています。この人たちが使う英語はいままでの英語とはもちろん違うし、彼らは英語を使ってビジネスをするし、英語を使って違う人たちとコミュニケーションをとって、自分たちのテリトリーを広げて、どんどんとよりよい暮らしを求めてるわけじゃないですか。そういうこと考えたときに、いま日本の中でおっしゃっているような、ここまで勉強しないと話しちゃいけないみたいな、そういうブロックを壊したいなあというのが違いだと思います。

――生きていくための英語ですか?
そうですね。生活していくために普通に必要な英語という感じだと思います。

――TOEFLやTOEICってどう思われますか?
いいとは思いますよ。自分がどれくらいできるのかを試すのはいいと思います。ただ、TOEICが900点の人とお会いしたことがありますが、しゃべれないわけです。(TOEFLは)留学するときにも必要ですし、いいことだとは思います。ただそれを取ることで英語がしゃべれるかというと、ちょっと違う。

――では、英語でのコミュニケーションには何が求められますか?
シンプルにいうとオープンマインドですね。自分の気持を開けるということです。他の文化を受け入れてあげるということだと思うんです。日本ではこうなんだけど、アメリカではこうなんだよ、だから彼らはこういうふうにアプローチしてくるし、こういうふうに話すんだよと。それを受け入れることをしないと、コミュニケーションとれないと思います。

TOEICができて、どこかの学校に通って、留学して、だからしゃべれるんですよといいいますけど、ただしゃべれるのと、本当にコミュニケーションとってお友達になるとか、相手の言いたいことをわかってあげるとか、こっちの言いたいことをわかってもらうとかっていう段階になった時には、やっぱり最終的には気持だと思うんです。それは日本語も一緒だと思います。日本語を話している同士だといって通じ合えるわけじゃない。最終的には、お互いのカルチャーというか、文化を受け入れてあげる。私は英語を勉強する中で、いろんな国の人の文化、ライフスタイルを見てきたわけです。たとえばユダヤ人の友達ができれば、家に行くと全然違うわけなんです。びっくりするぐらい。こんなのありえないみたいな。インド人の家に行くとまた違うわけです。イスラム系の人の家に行くと全く違う。こういう違いがあって、みんな同じ国に住んでいるわけなんですね。だから、英語を通していろんな人と通じ合う中で、いろんな違いがあってオッケーみたいな。

――日本人は他の国に比べて外国語があまり得意な民族ではないと言われますが、その理由はどんなところにあると思われますか。
下手でいいんですよね。(日本人は)下手がいけないとか、間違うことを気にする感じがありますよね。ブロークンの英語でもいいと思うんです。英語を使って何がしたいのかということなんです。ただ英語がしゃべりたいだけじゃなくて。下手な英語って山ほどありますから、アメリカに行けば。下手っていうのがダメだと思わないほうがいい。日本の方もアメリカで活躍している人もいますし。英語の勉強に関していうと、日本の中だけの英語学習のコンセプトだと思います。

――では、誰でもしゃべれるようになるんでしょうか?
はい、英語に関して言わせてもらうと、日本の方の8割から9割は話せると思います。

――その壁を打ち破るのが先生のレッスンなのですね。
私の講座に3か月くらい出ていただいて、お家でも練習していただいたら、普通にはコミュニケーションはとれるだろうと。その次の段階にいくときになって初めてテキストを買ってきて、たとえば中学校の時の英語を勉強するとか、そうなった時に、ああ、(勉強したことが)これだなというふうにつながると思います。

――アメリカに渡ってよかったと思いますか?
はい、できない経験をたくさんさせてもらったと思います。

――また、将来的に、アメリカに帰られるんですか、それとも日本で?
これはね、いつも聞かれる質問なんです。本当はアメリカにずっといるつもりで、アメリカのお墓に入るつもりで国籍も変えたんですね。ただ、子どもができて、子どもと親をつなげてあげたいというのが、これまた、私の願いでもあったんで、またアメリカに行くんですかと聞かれると、遊びにはいくかもしれないけれど、わからないですね。また20年後に決意してアメリカに住もうと思うかもしれないし、ここはちょっと家族と相談になってくるんですけれども。

――家族を持つことで大分人生が変わった?
と、思いますね。私は、いまは、アメリカでも日本でもどっちでもいいと思っています。どっちもいい所だと思います。

夢があるんだったら、やってみる!
自分のやりたいことをクリアにすれば、壁は突破できる。

――最後に、若い人に何かメッセージがあれば...
私もいつも夢見る人なんですけど、やっぱり夢があるんだったら、それをやってみることだと思います。やれたらいいなあとか、英語もいつかしゃべれたらいいなあとかじゃなくて、本当にそう思うんだったらやってみることだと思います。生半可意に、たとえばプールの脇に立って、このプールの水は冷たいのかなって感じで、足の指の先をちょこっとつけて、ああ、冷たいから止める、じゃなくて、やってみるということです。

――そのプールへ飛び込んでみるということですか?
はい、飛び込んでみる。もちろん、やると決めたからにはやっぱり必要なものは出てくると思います。たとえば海外に行くぞと決めても、パスポートは要る、ビザはどうなんだとか、チケットはどうなんだとか、必要なものがいっぱい出てきますよね。自分の壁ですね。1つ1つクリアしていくことで習えることっていっぱいあると思うんです。

私もアメリカに行って、しゃべれるようになるというより、生活していく中で英語は絶対にしゃべれないといけない、そのためにはどうしたらいいのか。働かなければいけない、どっかに座って勉強なんてできない、じゃ、周りの人に聞いて勉強するという風に、自分の中に創意工夫というのが出てくると思うんです。クリエティビティが出てくると思うんです。本当に自分がしたかったら。

自分がやりたいことを明確にして、自分のやりたいことが明確だったら、それに向かってアクションを起こせるはずなんです。それがクリアじゃないと、いつかはこうなったらいいなとか、できたらこうなりたいなとか、という段階で妥協しちゃうと思うんです。だから自分のやりたいことがあるんだったら、それをクリアにして、それに向かって自分がどういうステップを踏まなければならないのかを1つずつやっていく。その中で突破できると思います。そこで崩れてしまうというのは、本当にやりたかったんじゃないか、もしくは決断ができてないんだと思います。よく生徒さんにも言うんですけど、決断って、決意して断つって書くじゃないですか。決めて断つということは、できないというオプションを残さない。それぐらいの決意を持ってやれば、時間はかかるかもしれないけれど、できるようにはなると思います。いろんな壁にぶつかって泣いたり笑ったりしていることがあとあと生きてくるんですね。

だから、私はこの講座自体を単なる英会話の講座じゃなくて、
英語を学ぶ中で自分の中の1つのマインドブロックを突破して、
次のステップに役立ったらいいんじゃないかなと思うんです。


職業訓練を担当させてもらっていると、次のステップで訓練生の皆さんは職業をゲットしなければならない。そういう時、必ずマインドブロックかかるんですよ。「だけどなぁ・・・」って、なので
そういうところにも活かせたらいいかなというふうに、ちょっと考えたりしています。

Courage is not ignorance of fear.
Courage is having fear and still taking the first step.
(勇気とは恐れを知らないことではなく、恐れを抱いていても、あえて一歩踏み出すことである)

ページの先頭へ